はじめに

・こちらは2004年11月3日に三重県総合文化センターで開催された朗読会『言の葉の味わい』に管理人が行ったとき……のネタバレレポです。

・もともとリアル友人に送った当時のレポメール……を約20年ぶりに再編集したもののため、一部管理人の地が強く出ているというか、ぶっちゃけファンがキャーキャー言ってるだけのレポです。ご了承ください。

・また、くだけた表現、イベント当時の素直な感想、暴言と言えば暴言ともとれる発言もあるので、そういうのが苦手な方、管理人にまだ夢を持っていたい方はお戻りください

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 「言の葉の味わい」とは。三重県津市にある「三重県総合文化センター」開館10周年記念行事……の一つで。声優の「速水奨」さんが本を朗読してくれるという、2004年の11月3日に行われたイベント。

 どういう流れだったかは正直覚えてないですが。とにかく何かでそれを知った、速水さんの大ファンの友人に誘われて。……行き慣れてるような場所ではないけど、東京や横浜に比べたらだいぶ近い、しかもチケット代はただ、無料、交通費のみで生の速水さんが見られる!肉声が聞ける!……ということで。友人と二人、浮かれて三重県総合文化センターまで行った……ときのレポが以下になります。

 11月3日、祝日。浮かれつつも特に問題なく、時間に余裕をもって三重県総合文化センターまでたどりつき、会場になってる「小ホール」へ。祝日とはいえ、水曜日という微妙な日程、そして三重県ということで。小ホールへむかうまでにも、いかにも!な多数の人影は見当たらず。……いつもの東京や横浜のイベントに比べたら、人、いないかな?と思いきや……最大300人収納の小ホール、最終的に、ほぼ満席。

 朗読会だからか、親子連れらしき人達も見かけ。ホールに入る前に、小さいお子様連れ、お母さんらしき女性が子どもたちに「いーい?もう一回いうね?舞台の上の男の人がお話してる間は、おおきな声を出したらダメだよ?」……などと注意してるのがほほえましかった。

 さて、その「言の葉の味わい」で朗読される作品は、当日もらったパンフというか紙によると。

・魂のいちばんおいしいところ(詩 谷川 俊太郎)
・モモちゃんのうまれたとき(短編 松谷 みよ子)
・うさぎのごちそうめしあがれ(長編 茂市 久美子)

・秋刀魚の歌(詩 佐藤 春夫)
・注文の多い料理店(中編 宮沢 賢治)
・勘酒(詩 井伏 鱒二)

の6つ。「うさぎのごちそうめしあがれ」から「秋刀魚の歌」の間は15分の休憩あり。正直このタイトルの中で、すぐに私がわかったのは「注文の多い料理店」ぐらい。……これは何か、選定基準?があるのかな?谷川俊太郎は聞いたことある気がするけど、他の人たち、宮沢賢治に比べるとそこまで誰もが知ってる!ってほど有名じゃない気もするから、三重県出身、あるいはゆかりの作家とか……そんなのかな?と思いつつも見ててると、パンフの中からアンケート用紙が。

 このアンケート、普通の朗読会のアンケートっぽいけど(どこでこのイベントを知りました?どうして今回参加しました?など)質問の回答の最後に、いちいち「速水さんのHPで」とか「速水さんのファンだから」とか書いてあるのが、速水さんファンとしてはちょっと楽しく。極めつけに質問「今回のイベントの満足度を教えてください」の回答が「内容について」と「朗読者について」とわかれていて。……このアンケート作った人、わかってらっしゃる……と、とても勝手に親近感。

 さてさて、そんなことを友人と二人、席について話しながら、ついに迎えた開演時間。まずマイクを手に出てきたのは……今回の企画を考えたらしい、図書館の館長さん。

 拍手しつつも、速水さんはまだかな?などと考えてしまっていると。館長の簡単なあいさつが終わり「盛大な拍手でお迎えください」との言葉と共に、いよいよ速水さんが登場。言われなくても巻き起こってたであろうレベルの盛大な拍手。……何なら黄色い歓声も飛ばしたいくらいです。いや、やらないけど。

 そして登場するなり速水さん、一礼するとステージ真ん中の設置された椅子に座り

「すいません、マイクこれしかないんで、館長立たせて。……けど、僕なんかでいいんですか、大事な10周年記念に」

など軽快に飛ばし。館長、

「いえいえ、あなただからこんなにお客さん来てるんですから!もう速水さん早く出せ、ってみんな思ってますし!」

と。……すみません館長、正直そう思ってました!ごめんなさい!

 そして館長は退場し、速水さんの朗読が開始。

 まずは「魂のいちばんおいしいところ」という詩。相変わらずの美声でさらりと詩を読む速水さん。まさか歓声をあげるわけにもいかないし、真面目な詩なので、じっと聞き入るホール内。

 詩なのもあって、朗読は数分で終了。拍手が起こり、朗読会だから続けて読むのかな〜?と客席で思っていると、嬉しいことに速水さんのトークが始まり

「えーと、皆さん、もっとリラックスして聞いてもらっていいですから。1対300じゃこっちの立場が弱いので。おもしろかったら、ちゃんと笑ってくださいね。僕、待ちますから」

との言葉に、場内から笑いが起こる。

「今回は、どれくらいのお客さんが多いんですかね。やっぱり皆さん、三重県の方、とか?(ぐるりと見渡して)……中には見たことのある妙齢の女性もいらっしゃいますが」

 ……と、ここでも笑いが起こったので、きっと速水さんにくわしめな熱いファン、多かった、と思われます。……こちらは客席なので、あんまり全体の客層はわかりませんが。

「えーと、どれくらいの人にあわせればいいのか、というのがあるので……この中でお子様の方。手を上げてください」

 お子様……お子様と言えばそうなような……違うような……などと思わず自分が手を上げようか考えていると

「あ、精神年齢じゃなくて」

と心を読まれたかのように釘を刺され断念。そして、私の位置からは見えなかったが、どうやら何名かは、子どもか未成年か……が手を上げたようで。

「それじゃあ、言葉は変えられませんけど、できるだけ感情豊かにわかりやすく読んでみようと思いますね。あ、退屈だったらそこらへん走り回ってもらっても。僕、待ちますから」

と言って速水さん、会場に笑いを起こしつつ、次の「モモちゃんのうまれたとき」を朗読。

 内容は

「うまれたばかりのモモちゃん。そこにじゃがいも・にんじん・たまねぎがカレーを、チューインガムがガムを、ソフトクリームがソフトクリームを、それぞれ食べない?とやって来るものの。まだ赤ちゃんなんだからダメよ、とモモちゃんのママが追い払う」

……と、まあそんな感じの童話っぽい短編。

 ここで笑えるのは速水さん、いちいち食べ物の皆を演じわけ、特に笑えるのがガム。おそらく本文は

「『なあなあモモちゃん、ガムくわねぇ?』ママは慌てて言いました」

なところを

「なぁなぁ、モモちゃん、グァムくわねぇ?」

……などとやたらとガラが悪く、聞いてて笑えたうえ。その直後の「ママは慌てて言いました」では、さらりといつもの美声に戻り。……そのギャップがツボにハマって、必死で笑いすぎないようこらえてました。……少しぐらいならいいだろうけど、さすがにあんまり大声で笑い続けるのは迷惑だろうと。

 ……ちなみにこれが終わった直後のトークでは「チューインガムは外国人だったということで」とか言ってました。……急に?異国から?

 そして、前半最後は「うさぎのごちそうめしあがれ」

 これは

「フランス料理のシェフをやってる主人公の元に、小さな兄妹が現れて。兄妹はおじさんの『ゆきなべ』のお店を探していると言うのだけど、実はその兄妹たちの正体は……」

……という、私の勝手な印象としては童話系。ただこれ、結構登場人物が多く。語り部というか地の文?の他に、主人公、小さな兄妹、兄妹のおじさん、お客さん四名、などがいて。

 ほぼ全員演じ分けてるのは楽しかったものの、小さな兄と妹は、通常が低い大人の男性の美声の速水さんには、ちょっと無理がありすぎて。兄はともかく、妹までわざわざちゃんと演じているのに笑ってしまいました。……すみません、どう聞いても少女じゃなくて大人の男ボイスに聞こえました、妹。

 で、ここまで、うさぎ〜が少し長く、それだけで30分くらいたっていて。前半全部終わったところで大体45分。その後、15分の休憩が入り。……休憩が終わると、次は「秋刀魚の歌」の朗読が開始。

 歌というか詩なんだけど、何だか言いまわしが難しく、正直聞いてるだけの私にはよくわからず。

「人に捨てられし人妻と、妻に背かれし男」とか

「秋刀魚、にがいかしょっぱいか 涙にくれる男のはなし」とか

「娘は知らぬ男と食卓を囲み、父と呼ばねばなるまいか」

……ぐらいは聞き取れたので。てっきり「……主人公の男が奥さんに離婚されて、娘を取られちゃった?」などと解釈してたら、朗読後の速水さんいわく

「これは詩の作者と、不倫女性のことを描いた詩」

とのことでした。……ただし小学生未満も混じっていたので、言ってみたものの「やっぱりやめましょう、解説やめっ」などとその後の解説は拒否された。……くっ、聞いてて内容が普通にわからなかったから、なんならくわしく聞きたかった。……ていうかそんな、子どもに聞かせられないような解説だったのか……?声はともかく、何の内容を聞かされていたんだ……?

 ちなみに代わりというか間のトークでは「僕も執筆活動をしたりしてるんですけど」のセリフに、微妙に客席から笑いが起こり。……速水さんが脚本書いてる「S.S.D.S.」とかのファン、本日やはり多いんだな、と思いました。

 次は「注文の多い料理店」まあこれは有名なお話ですが、流れついでに一応。

「二人の紳士が猟をしに山に入ったものの、ちっとも獲物は見つからず。空腹で山奥をさまよっていたところで、レストラン「やまねこ」を見つける。当店は『注文の多い料理店』です、という看板をいいように解釈し、その注文にしたがっていくんだけども、何かがおかしい。実はそこは料理を出す店……でなく、客をやまねこが料理するレストランで……」

という宮沢賢二作の話。

 これは速水さん出演の語りCDにも出ていたりするので、もし機会があれば語りCDの方を聞いても楽しいかも。個人的には後半の山猫の手下がなんだか半女性っぽくて、「S.S.D.S.」の似たようなキャラ、ナンシーを思い出して楽しかったです。朗読後トークの速水さんいわく、元々宮沢賢治は好きだけど、特にこういう風刺のきいた、ちょっとブラックユーモア的な話が好き、と語り。

 そして最後は「勘酒」

「おれのさかずきをうけてくれ。
 とくとくとく、とつがせておくれ。
 花に嵐のたとえもあるさ。
 さよならだけが人生だ」

という詩。……ホントにそれだけでした。個人的には「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ」という一節は、漫画か何かで、聞いたか見たかした覚えがあったので。……もっと何か戦争とか、三国志じゃないけど友人同士が敵になるとか、そんなストーリーがあるのかなーと思っていた……のが、これで終わりなのが、ちょっと意外で。……同じように思った人も多かったのか、それともすぐ終わったからか、はわかりませんが、客席からもちょっとどよめきが起こってました。

 さて、朗読会のプログラムはここで終了。で、最後に速水さんのトーク。

 速水さんいわく

「今回の朗読作品は、僕が選んだものではなくて、これを読んでくれ、と頼まれたものなんですが……」

との話に、へえ、そうなんだー、宮沢賢治とか入ってるから、本人が選んだのかな?と思ってたよね〜語りCDでも読んでたもんね、宮沢賢治……と休憩中に友人と話したことを思い出しつつ頷いていると

「言の葉の味わい、ということで食べ物の話を集めたということらしいです。ただ、ほとんど食べられてませんし、注文の多い料理店に至っては、主人公が食べられそうになってますけど。こういうブラックユーモアが聞いてて、さすが三重県だな、と」

……と。

 ……み、三重県って……そんなイメージ……?逆にイメージないと言えばないけど。そんな負のイメージだっけ……?とちょっと考えてしまった。

 あと細かくは書きませんが、合間合間に会場の文化センター内のレストランとかもさらっと宣伝してたりして。さすがプロだな〜と思いました。そして朗読とトークが終わり、拍手の中、速水さん退場。……個人的にはアンコールとかしたかったけど、特に誰も言わないのでできないまま、暗かった館内が明るくなり、朗読会は終了。

 するとホール内に「終了後、少しの間、速水さんがロビーにいらっしゃいますが、写真撮影などはご遠慮ください」との放送が流れ。

「へー、いるんだ〜。でも、いても遠巻きに見れるくらいかな?」

などと、友人と二人、朗読会の感想を話しながら小ホールのドアから出て、書いてあったアンケート用紙を投函したところ、なにやら人だかりが。

「……アンケート用紙とか、何か人が集まるようなもの、あったのかな?」

と思いつつ目をやると、なんとそこには生の速水さん!し、しかも握手会みたいになってる!

「な、並ぶっ?」
「並ぼうっ」

と友人と二人して列のうしろで待っていると、ついに生速水さんが目の前に!

 ……確か私、ありがとうございました、とか言ったような言わなかったような……生の速水さんを目の前にして、更に握手をしてもらって心臓が躍り上がっていたので、あまり記憶がありません。ただ、握手してもらった時の冷たくてやわらかい手の感触に、しばらく放心してました。

 ああ、前日少ししか寝てなくて少し眠かったし、かなりどきどきしてたし、変な顔してないといいけど……!と、とにかくこの手、しばらく洗わないでおこう……と、帰りの電車で友人と誓ってました。

 そんなわけで、まさかの握手会もありましたが、朗読会としてゆっくり速水さんの声と演技、トークを楽しめる、とそれだけでもおいしい、満足感のあるイベントで。アンケートにも書きましたが、こういうイベント、時々やってくれるといいな〜と思ってました。

 以上、当時の友人宛のメールレポをざっくりと再編集したものですが、2004年の11月に三重県津市にある「三重県総合文化センター」で行われた、朗読会「言の葉の味わい」のレポでした。……少しでもイベント当時の雰囲気が伝わり、楽しんでもらえたなら、幸いです。

2004/11/4・2024/10/26

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