もう戻れない
(「かえるの絵本スキーに30の御題」作品)
真実を知ることは、怖いことかもしれない。
もし知ってしまったら、知らなかったころには、もう戻れない。
そう思って、脅えて。
真実から目をそらしたい。
……そんなふうにさえ、考えたこともありました。
けれど、あなたといて、あなたを見ていて、思ったんです。
どんなことにも勇敢に立ち向かっていくあなた。
正しさを追求するかのように、
脅えず、どこまでも突き進むあなたを見て。
私も、そうありたい。
脅えず、目をそらさず、気高くありたいのだと。
だから……知りたいと、思いました。
真実を、私の中に眠る本当の出来事を。
そして私は真実と出会い……
確かに、知らなかったころとは、変わってしまいました。
けれど、それは、私に教えてくれたんです。
そばにいる人の大切さ、そのあたたかさを、改めて。
真実を知る前の自分より、ずっと、深く。
確かに、真実を知る前には戻れなくなったけれど……
でも、私はこれでよかった、と思います。
きっと、私の中に眠っていたものは、
目覚めることで、私を成長させてくれた、そう思いますから。
……だから、今度は私の番。
どうか、あなたのために、この力を、
目覚めた真実が生み出す力を、使わせてください。
あなたがいなかったころ、
あなたを知らなかったころの私には、
もう、戻れないのですから。
(from.継承の儀式)
22:不器用で、無邪気なを読む
24:メッセージを読む
かえるの絵本スキーに30の御題
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