おもいでぼろぼろ
〜遙か編〜
遙かなる時空の中で編
〜初めての遙か〜
私が「遙かなる時空の中で」をプレイしたのは、元祖、プレイステーション版の発売日から、しばらくたってからのことであった。
同じネオロマンスシリーズの「アンジェリーク」が好きだったため。ネオロマンス・ルビーパーティブランドの新作である「遙かなる時空の中で」が、気にはなっていたのだが。「遙かなる時空の中で」の世界観は和風と、洋風の「アンジェリーク」とは大きく違い。絵もキャラを演じる声優さんも違う、と違うところが多すぎたこと、そして近所のお店ではソフトを見つけられなかったことから。……まあ、見つけたときに、まだほしいと思ったら買おう、と決めて。数ヶ月か一年以上か、とにかくそれなりに長い時間が過ぎていたのである。
その後、たまたま立ち寄った店でソフトを見つけ。ちょうど間もなく大型連休だったこと、そして「アンジェリーク」とは違うが、そこまで声優さんにくわしくない私でも知っているような、豪華声優陣だったこと、さらにパッケージにいたキャラの一人の顔が好みだったことから。「……まあ、やってみておもしろくなかったとしても、ここまで豪華声優なら、声優好きの友人がひきとってくれるかも」と購入。プレイするにいたったのである。
しかし、初めての「遙か」は「すごくいいところもたくさんあるが、わかりにくいところもたくさんある」と言うのが、当時の正直な感想で。
アニメも含めて絵が綺麗で、戦闘もあり。龍神の神子として現代から召喚された主人公が「京」という異世界を救う!な、英雄、女勇者的な楽しみ方もできるストーリーもおもしろかった……のだが。最初から八人の男性の仲間が既にいて、さらに情報が多く、どこからどう手をつけていいのか、どれを、誰を優先させればいいのかが、わからなく。初プレイの私には、主人公こと龍神の神子として、これはやらなければならない、と言われた課題を期日までに最低限こなすのがせいいっぱいだった。
「ネオロマンス」「和風恋愛アドベンチャー」と、公表されているジャンル名のとおり、「八葉」という仲間、顔と声のいい八人の男性と、恋愛イベントやエンディングがあるのはわかっていて。それを目当てにしてたところもあったのだが、その恋愛イベントも、ほんのさわりしか見ることができぬまま。私は最終章へと突入。クライマックスで龍神の神子として「京」を救うために龍神に身をささげ……消えかけた主人公の意識を「いかないで!」と呼び戻してくれたのは……「ラン」という、女の子だった。
「……え、何これ、ストーリーイベント?いや、ランは嫌いじゃないし、不幸な境遇におかれているランも、救えるものなら救いたいと、それはもちろん思っていたけど……ここで、ラストのクライマックスで出てくるのがランなの?長い間共に戦い、難題を解決し、信頼を築き上げてきた攻略キャラこと『八葉』の誰かじゃなくて?……ラン?」
……などと私が画面の前で動揺しているうちに話は進み。私は美形男性との恋愛めあてにプレイした「遙かなる時空の中で」で、初めてのエンディングを、期せずして女性キャラ、ランと迎えたのだった。
話はここで終わらない。
実は当時、ゲームとほぼ同時に、攻略本もひととおり買いそろえてあり、ちらっとは読んでいたものの。攻略本なので当然ネタバレが多くあり。……とりあえず初回はひどいネタバレはなしでプレイしたいな、と思ったため。ちらっとだけで、それ以上は見ていなかったが。……初クリア・ランとの友情エンディング後、改めて攻略本を読み込み、自分なりに初プレイの答えあわせをして、気がついた。
ゲームのパッケージを見て「あ、このキャラの顔好み。このキャラと恋愛エンディングあるなら、買ってもいいかも」と、当時買う動機の一つになっていたキャラ、八葉の一人、地の青龍こと森村天真。
実は私は、初プレイで、ほとんどわからないなりに、天真との恋愛イベントの条件を満たしていて。「これをクリアすれば恋愛エンディングのフラグが立つよ!」なイベントを発生させていて。選択肢さえ間違えなければ、天真が愛を告白してきた……というシーンで。
「だって私たち友達じゃない!」
と笑顔で断言。……がっつり失敗選択肢を選び、目当てだった相手との、貴重な恋愛フラグを、ナチュラルに叩き壊していたことが判明した。
……なんなんだよわかりにくいんだよ!だいたいそのシーン、そもそもストーリーイベントかーってぐらいの流れだったし、さらに恋愛フラグ叩き壊した直後なのに、当の天真は満面の笑みなうえ親密度上がってるしで、何かを失敗したことにすら気づかなかったよ!ああああ本当なんだったんだよあれはさあ!
……と、今でも思い出すたびに叫びたくなる、ナチュラルに相手の恋の地雷を踏みぬいていた、初回プレイの悲しい思い出。
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〜生まれながらに〜
それからしばらく、私は「遙かなる時空の中で」をプレイしていた。
最初こそわからず、いろんな意味で失敗していたものの。システムがわかり、攻略本もあれば、それなりにうまくいき。1度のプレイで2人から4人ほどの八葉と、安定して恋愛エンディングが見られるようになっていた。
そして何度か周回し、ほぼ全員分の恋愛エンディングを見たある日、私は思った。「もしかして今なら、八人全員と恋愛エンディングが見られる状態、八又がかけられるんじゃ?」と。
思いついたら挑戦したくなった私は、これまで得て、把握した情報を自分なりにまとめあげ。八葉全員、八又計画を立て、挑戦した。
八又計画はとても忙しく、自由な時間はほぼない、と言ってもいい状態であったが。私はなんとか計画をこなし続け、結果……八葉の一人「天の白虎」だけ、親密度こと「想う心」と「信じる心」が足りずに恋愛イベントが発生させられず、失敗。成功したのは七又だった。
当時の自分としては最高記録ではあったが、あと少し、ほんのあと少しだったのに……!と、たいへん苦労したこともあり、悔しい気持ちが残った。
話はここで終わらない。
時は流れ。私は「遙かなる時空の中で2」をプレイした。
「遙かなる時空の中で2」は「遙かなる時空の中で1」同様、最初に主人公の誕生日を入力することができ。それで主人公の属性が決まり、属性によって八葉との相性……「想う心」と「信じる心」の上がりやすさが変わる、仲良くなりやすさが変化する……というシステム。しかし、私は2で、1と同じ誕生日を入れたものの、2主人公の属性は、1とはまったく変わっていた。
へー変わるものなんだーなどとたいして気にせずプレイして。何度もクリアし、プレイも後半。私は再び、八葉全員恋愛エンディングこと八又計画を立て、挑戦することにした。
「でも1のとき、同じようなプレイして、苦労したけど失敗したから……多少システムが変わってるとはいえ、そんなすぐに……一回では成功しないかも?」
と思いつつ、2で挑戦した結果。1ほどの苦労もなく、あっさり八又を達成。
……主人公の属性、生まれながらの環境で、同じだけの努力をしても結果がこうも変わるのだと、悲しい現実をゲームで実感してしまった出来事であった。
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