真・Sappari Quest
〜リメイク編〜



 今から数百年前、人間を滅ぼそうとした魔王。
 彼は、この世界を作ったとされる女神……の加護を受けた、8人の勇者たちに封印された。

 封印される直前、魔王は言った。
『数百年の後、私は必ず蘇る』と。

 勇者は言った。
『仮におまえが蘇り、そのとき我らがいなくとも。我らの血を引く者たちが、我らの武器を手に、必ずやおまえを打ち倒すだろう』と。


 それから約500年。自然豊かな村に住む少年ロデス(剣士・15歳)と少女エル(魔法使い・14歳)。幼なじみの二人は今。
 夜の教会の中の様子を、先日壊れて現在ただの枠になっている、元・窓の外側からうかがっていた。

 先月町からの紹介で、この村の教会へ修行に来た……はずの美しきシスター・ジュナ。
 その彼女が、夜な夜な村の教会で、怪しげなことを繰り返している……とウワサになっていたからだ。

 女ならだいたい誰でも惚れる少年・ロデスは、いつも美しく優しいシスターの無罪を証明しようと。そしてエルは、ロデスに好意を持っていて、シスターにやきもちを……と言うのも少しはあるが。何より今まで、ロデスが好きになった女が、本当にたいがいろくでもなく。

「肌の露出の多い美人の旅人と思ったら、村の宝を狙った強盗だった」
「神秘的な美少女だと思ったら、この村に多い健康な子どもたちを狙った誘拐犯が、魔法で美少女に化けた姿だった」
「おしとやかな大人の観光客女性だと思ったら、騙した男に借金を押し付けて逃げようとする結婚詐欺師だった」

……など、度を越えた相手、犯罪者が続いていて。……剣の得意なロデスが、結果的にその腕っぷしで全部解決はしていた、ものの……エルはロデスが好きになった女を、一律怪しむようになっていたため。シスターのたくらみを看破しようと、二人で確めにきたのだ。

 そしてその肝心のシスター・ジュナは、と言うと。教会にいくつもの光る玉を設置し、バラまいて。床と空中には、いくつもの光る、大きな魔法陣らしきものを書き。細いシスターの体には不似合いな、大きく太く、ひどく重そうな剣を持ち。ときおり目を細めては、ぶつぶつと何かを呟き、教会を歩き回っていて。……それはもう純粋に「怪しい」としか言いようがなかった。

 ウワサどおりシスター・ジュナが怪しいことはよくわかったが、何をしているのかまではわからない。これはどうしていいものか……と二人がかたまっていたところ。シスター・ジュナは教会の中心で立ち止まり。奥を向いて足を横に広げ、重そうな剣を高く掲げ……バチバチッと、教会の中に、いくつもの雷が発生したような音がして。さらに深く暗い星空のような、ゆらめくものが。シスターの前に現れ……教会が、はげしく揺れた。

 驚き、とっさに教会からはなれた二人だったが、揺れているのは教会だけ。一度顔を見合わせた二人が、再び教会の中をのぞくと。シスターがひざをつき、苦しそうに息をしていて。星空のようなものから、何か強く丸い光が発生し。その光が、避けられそうもないシスターに、襲いかかろうとしてるように見え。……危ない!そう思ったロデスは、枠を乗り越え、あたりかまわずシスターに駆け寄り……とたんに、意識を、失った。


 ロデスが目を覚ますと、エルとシスター・ジュナがのぞきこんでいて。エルはロデスが目を覚まして安堵したが、シスター・ジュナは、ひどく怒り、こう言った。

 今、魔王が復活してしまった、と。


 シスター・ジュナは実は女装した男性で、人ではなく。本当の名はナジュタといい。この世界を作り、世界の平和を望む女神に仕える、7体の竜の1体。

 復活すれば必ず再び大きな争いを起こす魔王。その封印が弱まっていたため、本来勇者たちにしか使えない武器を集め、さらにさまざまな手段を使い。強引にその武器たちを、同じく女神に仕える7体の竜の化身、全員が、それぞれ使えるようにして。もっとも封印に適した場所を選び、人に化けてもぐりこみ。竜の化身たちと通信しながら、同時に儀式を行い、魔王の封印を施そうとしていた……ところ。

 よりにもよって、現在どこにどれだけいるかまではわからない、本当の勇者の子孫であるロデス……が途中で入ってきたために。勇者にしか使えない、反応しないはずの武器は、ロデスのもとにひきつけられ、ナジュタが制御できなくなり……封印の儀式に失敗し、魔王は復活してしまったのだと言う。

 すべてロデスが悪いわけではない、ないのだが……責任は、とってもらわなければならない。

 かくて勇者の子孫と判明した、村の少年剣士ロデスは。改めて魔王を封印する、あるいは完全に倒すため。自分を選んだ、伝説の勇者の剣を手に。生まれ育った村を出て、残り7つの伝説の武器と、7人の仲間を集める旅に出ることになったのだった……。

―未完―


オリジナルの部屋へ戻る


 おまけ

 〜補足という名の書きたいこと〜

・思いついたのは中学生の元祖連載時……だったような。手もとにないので記憶だけで追加設定も入れつつ短めに書きましたが、だいたいこんな感じです。だいたい。

・高校生のときに、未完で終わった元祖……を合作してた、高校は別だった友人が。私が文芸部で書いてた過去編を読んで「またサッパリやりたい、書きたい!」などと言ったため。改めてこれを1話として6月にノートを渡し、3話を書いて渡した8月から、二度とノートが返ってこなかったので。……本当にだいたい、としか言いようがないです。

・もともと元祖の初期が、本当にカオスというかしっちゃかめっちゃか、友人が本名で出てくる、まだ担当回4回目なのに唐突に番外編が始まり途中で終わった……のに、その後二度と続かなかった、など、内輪受けネタも多めで。そこらへんをある程度まとめ改善、出そうと思えば人前に出せる程度にしたいなーと思って書いてた一人リメイク、初期設定・オープニングのやり直し……だったので。まあだいたい元祖の仲間集め編に、そのまま続けばいいかなーと。

・ちなみに覚えてる限り友人が書いて渡してきたリメイク版2話は、仲間が何の説明もなく4人増え。全部お前のせいか、などとロデスに一方的に文句を言い責めたてて、さらに何故か持ってた馬車でどこかの街に移動したらしいところで終わってました。覚えてる限り。

・おつきあい、ありがとうございました。


オリジナルの部屋へ戻る
トップへ戻る