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Sappari Quest
〜過去編〜
世界には人間・獣人・魔族・精霊族・竜族と名づけられた、寿命や性質の違う種族がバラバラに住み。それなりの平和を保っていた。
しかし数百年前、魔王があらわれ魔族を率いて人間を滅ぼそうとし。世界を作った女神の手により、封印された。
豊かな自然に囲まれた村に住む少年、ロデス。両親は数年前に亡くなったが、村人に支えられ。得意の剣で周りの魔物や獣を狩り、妹と力を合わせて、つつましく暮らしていた。
しかし、妹が突然の病に倒れ。治せる薬草を手に入れるには、森の奥深くに住む変わり者の魔女に力を借りるしかない、と知ったロデスは、変わり者の魔女に会いに行く。
しかし魔女の持つ「手段」とは、薬草のある遠い国に瞬時に飛ばすことであり。……結果、ロデスはまったく知らない国に飛ばされてしまった。
誰もいない草原に飛ばされたロデスは、とりあえず大きな建物を目指し、進むことに。建物の近くにたどりつき、誰かいないかと探していると、突然爆音が響き。驚いていると爆風の中から、ボロボロの少年が走ってきて、追われてる、助けてくれ、とロデスに助けを求めてきた。
あまりにもボロボロの少年に同情したのと、普段の狩りで、迷ってるとやられるという経験から、反射的に追ってくる者たちを倒し、少年と共に逃げ出したロデス。落ち着いて話を聞くと、実はここは魔族の国で、少年も魔族だと言う。
そしてあの建物は自分の家で、家出するのに爆破魔法を使ったら、あんなことになった、と言った。
何故爆破したかと言うと、座敷牢的なところに親に閉じ込められていたから。
何故閉じ込められたかと言うと、素行が悪くて改善しないから。
追ってきたのは家の警備の罪なき兵士。
ボロボロなのはそういうファッションおよび自分の爆破魔法のせい、なんか人間がいたからダメもとでとりあえず助けを求めてみたら、思ったより腕が立ったから一緒に逃げただけだった。
だまされたことに怒り、立ち去ろうとするロデスだったが、少年にこの国は人間の国と国交があまりないから、一人でいたら目だって捕まって調べられる。無罪が証明されればいいけど、されるにしても結構な時間とられるけど、それでもいいのか?オレと協力した方がいいと思わないか?と言われ、しぶしぶ魔族の少年・ウィルと手を組むことになったロデスだった。
薬草と逃亡手段を求めて魔族の町に来た二人は、魔族の女性、マーシャルと出会う。
ウィルは一目でわかるほどマーシャルに惚れていて。ロデスが関係を聞くと、マーシャルはウィルの遠い親戚で、ウィルの魔法の元家庭教師。マーシャルはウィルの家族から、ウィルが行方不明で心当たりがないか……と聞かれたため、仕事の合間に、少し探しに来たという。ロデスとウィルの話を聞いて現在の状況を知ったマーシャルは、ウィルが迷惑をかけてもうしわけない、とロデスの薬草さがしに協力してくれることになった。
その後、薬草を手に入れ、ロデスの村に戻ることにしたロデスとウィルだったが、途中、偶然マーシャルが、魔族の仲間と魔王を復活させようとしていると知り、ウィルはひどくショックを受けた。そしてとにかく村に薬草を届けた後、ウィルにつきあう形でロデスは魔王復活を阻止しようとして、魔族の城にもぐりこみ、マーシャルと接触することに成功した。
魔王を復活させて戦争を起こすなんてやめろよ!と言うウィルに、マーシャルは言う。
「ウィル、ロデスくん、あなたたち……」
しかしそのとき、復活の儀式が成功し、復活した魔王の力により、魔族の城が揺れて壊れ始める。城にいた者たちすべてが命の危機に陥ったが、そこに創造主こと女神があらわれ、すべてを救出。ただの人間の少女にしか見えない女神は、魔王を連れて、天へと帰った。
魔王が復活したら戦争が起こる……はずだったのでは……?と呆然とするロデスとウィル。そんな二人を見て、マーシャルは言った。
「さっきも言おうと思っていたけど……ウィル、ロデスくん、あなたたち……何かとてつもない勘違いしてるんじゃない?」と。
話を聞くと、確かにマーシャルたちは魔王を復活させようとしていた。しかしその理由は、前々から他の種族と交流したいと思っていた魔族たちが、火種となる魔王を説得、天に帰すためだった。
魔王はもともと女神の分身であり息子。魔王は愛する女神を助けるために、かつて愚かな人間を滅ぼそうとしたと言う。
女神本人が出てくることまでは予想していなかったが、誰かが女神に見守られていたのかしら、と言うマーシャル。
誰も答えるものはなく、まるで悪いことなど何も起こらないような青空がただ、広がっていた。
その後、ロデスは村に戻り。ウィルはマーシャルの下で働くことにして。いろいろあったが、たぶん世界は今日もそれなりに平和……である。……たぶん。
――おしまい
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おまけ
〜補足という名の書きたいこと〜
・高校の文芸部時代に書いたものです。文芸部に入り、そこまで慣れてない自分は、とりあえず単発・読切からの方がいいかなーとそうしたところ。同じ1年生の部員残り2人が、初回からいきなり連載始めていて。……連載していいのか、と思って過去編始めた思い出が。6月か9月開始だった気がする。たぶん。
・元祖が未完で、ぶっちゃけ合作相手にも完結の期待ができなかったので、せっかく作った・考えたキャラ達の話を、とりあえず完結させたいなーと思ったのが動機の一つでした。確めずに記憶だけで書いてるので特に後半ざっくりです。たぶん大きくは間違ってないと思うけど、ちがったらすみません。
・細かく言えば基本ギャグ・コメディだったので「薬草は手に入れたけど実は村に薬草があって。ロデスが村に戻った時には妹の病気はとっくに治っており、ロデスは死んだものと思われて葬式などすべて終わっていたため、帰ったロデスにゾンビだ幽霊だと大騒ぎになった」とかのひどいオチとか、ラストのラストを、ごちゃわちゃ爆破とかして「世界は今日も平和……なのだろうか?」と疑問形でしめたことはまあまあ覚えてるけど、ざっくりカット。
・短くまとめたい、という都合でカットしまくりましたが、実際には元祖にいたフェルツ(獣人・22)・エル(魔族の女王・15)・ピア(魔族と精霊族のハーフ・20)・サナック(精霊族・20)マーシャルの兄(魔族の幹部・25)も出てるし、元祖にいなかった新キャラとしてマーシャルの仲間にメール(魔族の幹部・230)・カッティ(魔族の幹部・260)とかも出してました。ちなみにロデス17・ロデスの妹14・ウィル16・マーシャル23です。年齢。たぶん。
・もともと過去編こと元祖の前世編として考えたものだったので、何もなければ魔族の城が崩れたときに全キャラ死亡・元祖に続く!になる予定でしたが、それはあまりにもあんまりだろ、元祖を部誌に出す予定もないし……と思って、城が崩れる部分だけは残して生存エンドにした記憶。
・女神がラスト何故出てきたかと言うと、最初は話というか文自体、ロデスたちを見て、女神が書いていると言う設定だったからです。……上記のように主要キャラ全員死亡の悲劇エンドで元祖に続く!予定だったので。女神が自分が静観した結果起こった悲劇を忘れず、過ちを二度と繰り返さないため、書き残した備忘録……的な。ただ生存エンドにしたため、最終的に「女神が残した映像などを見て作者が書いてる」という設定にしました。最終的に。
・途中女神が、いつも見ているロデスたちの危機に手を出して助けていたり、あと魔王の城にいたのが、女神の声を聞けるサナック、危ないことがあったらなるべく助けてあげて、と女神に頼まれたから……だったり、魔王の城にいたフェルツの亡き妻は、不慮の事故で人間として生きてた女神だった……と言う流れもあったので、ラストで助けに入ってもおかしくないよ、的な伏線も一応複数ありました。今回すべてカットしましたが。
・友人間ではウィルとマーシャルの兄、あと魔王がちょっと好かれてた思い出。元祖時だとウィルとフェルツとマーシャルが好き、と言われてたような覚えが。ちなみに圧倒的人気は人間系のキャラではなく、当時個人的に持ってたふわふわぬいぐるみをモデルにしたモンスター「チェルシーくん」でした。
・おつきあい、ありがとうございました。
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